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you can't teach an old dog new tricks

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S5#4「ロックバンドの栄光と影」

洋楽好きの叔父の影響で子守唄はビートルズでした。
そんな私が大盛り上がりのニュー・トリックスS5#4「ロックバンドの栄光と影」。空高く駆け上るテンションでマニアトーク、じゃなくて感想に参りたいと思います!

・ジャックが戻り、久々にフルメンバーで捜査に臨むUCOS。今回は70年代のロックバンド「バッド・フェイス」の主要メンバー・アンディが自宅で自殺し た件の再捜査だ。自殺の根拠が怪しいうえに、当時グルーピーだった女性の証言で、彼が死の直前に誰かと口論をしていたことが明らかになった。UCOSは彼 がバンド内のトラブルで殺害されたのではないかと睨む。アンディの死後バンドを解散しそれぞれの道に進んだメンバーやマネージャーへの捜査が始まった。

・ジャック帰還!お迎えに行ったブライアン、お手柄です。どうやって場所を突き止めたのでしょうか。ジャックは寒々しい浜辺で一人物思いにふけっていました。

・そんなジャックにブライアンがかけた言葉は「アイス食べる?」。この微妙にとぼけた感じがブライアンらしくて和みます。感動的なシーンのはずですが、 ジャックのセリフもなくあっさりと次のシーンへ。サンドラ・ジェリーとの再会も、暖かくもさらっとしたものでした。ニュー・トリックスの伝統は健在です。 UCOSに戻る道すがら、ジャックとブライアンはどんな会話を交わしたのでしょうか。

・今回の事件を持ち込んだのはジェリーでした。彼はバッド・フェイスの大ファン。再捜査を渋るサンドラへの説得にも熱が入ります。最終的に再捜査を決めた のは同じくバッド・フェイスファンの副総監でした。これが縁で、ジェリーは副総監のバンドにボーカルとして参加することになります。

・事件の舞台が70年代のロックバンドということで、往年のバンド名が続々。副総監のバンドの名前の候補は「ペット・ショップ・ボーイズ」「ジェリー& ペースメーカーズ」「AC/DC」「ポリス」からの引用。「喧嘩するほど仲がいい」の比喩は「ミックとキース」(笑)。モブで登場するバンドは前期ビート ルズのパロでしょうね。穴倉のようなライブ会場はキャバーン・クラブを意識しているのでしょうか。

・マニアックトークはまだまだ続く。肝心の「バッド・フェイス」は悲運のバンドとして名高いバッド・フィンガーが元ネタかなーと思いました。根拠は以下の通り。
①名前が似ている
②メンバーの自殺
③バッド・フェイスのマネージャーの名前がエヴァンズ(バッド・フィンガ-を発掘したのはビートルズのロードマネージャーをしていたマル・エヴァンズ)
「バッド・フェイス」は二代目のバンド(ネタバレ反転)
⑤ジャケ写がうり二つ
副総監がバッド・フェイスを「埋もれた宝」と評していましたが、バッド・フィンガーにもそのまま当てはまる形容ですね。もっとも60-70年代はあまりにもすごいバンドが多すぎて、埋もれた宝の山なのですが。

バッド・フィンガーのマイ・ベストは「Shine on」なのですが、いい動画が見つからず。代わりにこちらもイチオシの「Better Day」。彼らの末路を知っていると仲良さげなのが泣けてきます。




多分一番有名なのは「Withou You」。ニルソンやマライアもカバーしています。



・段々なんのレビューだかわからなくなってきましたが(笑)本筋に戻ります。サンドラは今回の事件を「ジャックの失踪で失点したUCOSが名誉を挽回する 機会」と捉えていました。事件解決後、総監にお褒めの言葉をいただいた際には、さりげなくジャックの手柄であることをアピールします。厳しい反面、本当に 部下思いなサンドラ。私の中の「上司にしたい女性ランキング」では常に圧倒的単独首位です。

・事件が解決するや否や、副総監バンドがUCOSまで押しかけてきてジェリーを捕獲。散々参加を渋っていたジェリーですが、いざバンドを背にするとノリノ リです。単にUCOSのメンバーに見られたくなかっただけか(笑)ジェリーのカウントからエンディング・テーマに。楽しい演出です。



ジャック降板が決まった今となっては複雑な気持ちになりますが、やっぱりUCOSは4人がいいと思わされる回でした。ジャックを連れ戻したのがブライアンだったというのが今回の最大のツボです。

サンドラやジェリーもジャックに戻ってほしい気持ちは同じだったはず。でも二人はジャックの心情を思えばこそ、彼が戻ってこない現実を受け入れつつあったのでしょう。二人が見せた大人の顧慮はまぎれもなく優しさです。

一方のブライアンは二人の顧慮に比べると、もっとプリミティヴな感情で動いていた気がします。つまり「ジャックと一緒に仕事がしたい。彼に戻ってきてほし い」という一心です。結果論にはなりますが、この子供のような愛情表現がジャックを救ったのではないかと思います。ジャックに必要だったのは「切実に一途 に必要とされること」で、それを提示して見せたのがブライアンだったということなのでしょう。

小ネタも満載なら、妄想の広がり具合もピカイチの回。気付いたらとんでもない長さの記事になっていましたが、おじいちゃんズ萌えに免じて許してください(なんだそれ)

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ジェリー・スタンディング / デニス・ウォーターマン

好きなものは女・ギャンブル・酒・クラシックカーの不良デカ。主にサンドラから白い目を向けられる軟派な言動が目立ちますが、実は筋が通っていて正義感の 強さは人一倍。そのせいで友達も敵も同じくらい多い様子ですね。上司を殴り飛ばしたこともありました。年を取って丸くなったのか、はたまた周りで先に暴走されると自分は暴走できなくなってしまうタイプなのか、UCOSでは突っ走るメンバーのフォローに回ることが多くて、そこはかとなく苦労性の匂いがただよっています。

捜査では結構荒っぽい手も使うものの、大部分ではまっとうで堅実な方法で真相に肉薄していきます。トリッキーな発想は苦手のようですが勘は鋭そうですし、地味な仕事を地道にこなすことも苦にせず(好きではなさそうですが笑)、状況が変わった時に即応できる柔軟性にも富んでいる。どんな現場に放り込まれてもそれなりの成果を上げられるタイプなのでしょう。コミュニケーション力が高いし、感情に流されることもあまりないので、聞き込みなんて得意そうですね。

別れた妻が三人、それぞれとの間に娘をなし、孫もあり。女好きの名に恥じない家庭模様ですが、その全員が一堂に会しジェリーの料理に舌鼓を打つという関係を保っているあたり、ただの女好きではすまされないものを感じます。離婚もジェリーの方から切り出した節がありますし、「一人の女性と長くなると不安になる」というある容疑者の指摘は的を得ているのでしょうか。森林恐怖症という謎の弱点もあり、まだまだ隠れた顔がありそうです。

UCOS内ではいわば潤滑油的存在。チームがぎくしゃくした時ほどジェリーの存在が光ります。チームの円満を図る努力は事件解決という本来の目的に向けられている面ももちろんありますが、圧倒的にジェリー本人の気質によるところが大きそうです。基本的に彼は困っている人や傷ついている人を放っておけないんでしょうね。言ってみれば面倒見のいい兄貴肌。人の心情に聡いし、かたちのないものを重んじてもいます。だから元妻たちと変則的な関係を築くことができるのでしょうし、犯罪者からの信頼を得ることもできるのでしょう。UCOSメンバーもふと漏らしてしまう弱さをきちんと受け止めてくれるジェリーのことを心のどこかで頼りに思っているような気がしますね。そうだと嬉しいですね。なんかもう本当に公開ラブレターで申し訳ございません。



ジェリーを演じるのはデニス・ウォーターマンさん。主題歌「It's alright」のボーカルも担当しています。1948年生まれ、ロンドン出身。男性陣では一番若いんですね。タフな役柄が得意で、テレビドラマでの活躍 が有名なようです。他作品に「ロンドン特捜隊スウィーニー」など。

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ブライアン・レイン / アラン・アームストロング

「記憶屋」と愛称されるほどに驚異的な頭脳を持つ元刑事。膨大な知識と自由な発想に基づくひらめきはたびたび捜査を飛躍的に前進させます。

ただし飛びぬけた才能には代償がつき物といいますか、性格はかなり癖があり、本人いわく「仕事を離れると妻としか会話できない」ほど。精神面での問題を抱 えており、かつては酒浸りの日々を送って廃人になりかけたこともありました。今では酒断ちをしUCOSの一員として大いに腕をふるっていますが、だいぶ 世間とずれたマイペースぶりは健在で、彼をよく知るはずのメンバーすら唖然とするような言動を繰り返しています。ニュー・トリックスで一番個性的なキャラ クターと言って間違いないでしょう。

皮肉っぽくとっつきにくい性格の反面、案外素直な人なのではないかと思うのは私だけでしょうか。人の目から自由な分取り繕うことが少ないのかな、なんて思ったり。妻のエスタが倒れた時には無事が分かったあとも子供のように泣きじゃくっていましたが、こんなところに母性本能をくすぐられる人が多いのでは ないかという気がします。変わっているところまでどこかかっこよさそうに描かれる天才キャラが多い中、ブライアンの人物象は人間味があってとても好きです。

どこか浮世離れしたブライアンがここまでやってこれたのは、ひとえに妻・エスタの存在あってこそ。忍耐と母性を絵に描いたようなエスタをブライアンはそれはそれは大切に思っています。ブライアンが家庭の外で見せる笑顔も究極的にはエスタの存在に支えられているし、そんなブライアンの笑顔にエスタは幸せを感じているのでしょう。とてもお似合いの夫婦です。

ところでブライアンはかつて麻薬犯罪を担当していたとか。これはちょっと意外でした。ブライアンの精緻な頭脳なら経済犯罪のような知能犯が向いていそうな気がしたので。UCOSは主に殺人など人命にかかわる犯罪を扱いますが、そうした犯罪を解明していくうえで重要になる人間同士の関係性についてブライアンは実に的確な読みを披露してくれます。日頃びっくりするほどフリーダムなブライアンが!本人が時折自嘲するほど社会との折り合いがつかないわけではな い気がするんですよねえ。仕事上で発揮している対人スキルをもう少しプライベートにも導入できたら、生きていくのが随分楽になるんじゃないかと想像しつつ、でもブライアンはやっぱりちょっとずれたマイペースなブライアンのままでいてほしいというところに落ち着きます。



ブライアンを演じるのはアラン・アームストロングさん。1946年生まれ、イングランド北東部のダラム出身。グラマースクール時代にシェークスピアに触れ たことがきっかけで、役者を志すようになったそうです。ロイヤル・シェークスピア・カンパニーに9年間在籍。ディケンズ劇でも有名なようで、どちらかとい うと舞台中心の役者さんなのかもしれません。それでも日本で見られる作品への出演はニュー・トリックスで一番多い印象。映像作品としては「ニュー・トリッ クス」のほかに、映画「遠すぎる橋」「スリーピー・ホロウ」「オリバー・ツイスト(ロマン・ポランスキー版)」など。

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